2006.11.25 / JARFO

太田垣實

京都新聞

境界を彩る異貌

 1980年代ころからアートシーンの表現様態として広がり、今はすっかりなじみになったインスタレーション。スタイルとして定着するにつれ表現としてのインパクトは薄れがちだが、装置的な空間設営の境界を彩る異貌や機知によって興趣が息づく発表もある。

先ごろ終了した越後妻有トリエンナーレの出品者のひとり関直美の京都初個展は淡いピンクに彩色したセメントの四角錐が先端に見える白色角棒が無数に突き出た光景を、あちこちにつくっている。箱や衝立からいくつも突き出たような装置造形もあれば、画廊の内と外を区切るガラス格子にはめこんで突き出させ、ふだんみなれた画廊スペ-スに異なる様相を運ぶものもある。先端の怖さは、色彩の柔らかさと相まって、いつしか優しさやユーモアに転じていく。(JARFO=三条東大路東入ル 12月3日まで 月休)