ほとんどの立体作家が抱えている問題

関 直美 / Art Kawasaki 2017 図録 / 2017

何十年も世話になっている倉庫の大整理の年になった。拝借している建物の老朽化に伴い、とう とう対処しなければならなくなった。憂鬱であったが、保管していた1990年代の作品と、久しぶりに向き合ういい機会にもなった。作品をばらしながらつくった手順をさかのぼると、記憶とは曖昧なもので、実際は素材の米松の角材の裏には溶接した鉄の継手がしっかり入っていたし、それらを留めるボルトもおびただしい数を使っていた。
それらの行き先を含めて、いまだその当時と同じ悩みを抱えている。作品保管のスペース問題。おそらくほとんどの立体作家が抱えている問題でもある。しかし何の因果か、つくるしかないのだ。