2002.3.11 / ガレリアキマイラ

竹田さをり

AERA

団塊女性が探す「大人の女の自立の魅力」

(中略)

どんな文化を作るのか

川崎市の関直美さん(52)は、現代彫刻家の注目株。94年、現代日本木彫フェスティバルで大賞になった。

団塊は、戦前の古い価値観に反発し、学生運動という大きなムーブメントを起こした。その結果、音楽やファッションで「若者文化」が生まれた。

関さんの夫は小学校の同級生で医者の息子だ。いま鍼灸師。学生運動で20歳代の7年間投獄されていた。

「体制に入りたくない。多様でありたい」

という団塊の価値観を、2人で頑固に実践してきた。そのことが、いまのアート界での新鮮さとして評価されている。

75年から、大学の同級生達と「外野展」と称し、屋外や工場でのグループ展を10年間やった。二科展や院展、銀座の画廊など、権威ある「内野」に対する反骨精神からだった。

34歳まで会社で働き、おもちゃの企画をしていたその後十数年間のア-ト活動は、当時貯めた400万円でなんとか続けた。しかし、現代日本木彫フェスティバルに参加するため、岐阜までレンタカーを借りて作品を搬送したら、残額がゼロに。大賞になって賞金300万円が入ったから、今も彫刻家を続けられている。

学生運動のころに比べると、団塊世代の社会への影響力は衰え、再び大きなムーブメントを起こすには至っていない。関さんのアート活動も、国内では「不遇」が続いていた。

10年ぐらい前からアイルランドやデンマークに招かれ、公園などに作品をつくっている。

「外国には行きたくて行ってるわけじゃないよ。滞在・制作費を出してくれて助かるから行く」

しかし、「シンプルでありたい」「自然を愛したい」という団塊の価値観は、いま必要とされている気がすると言う。