2007.1.29 / 草月展

草月 / 造形科講師 関 直美

建畠覚造先生のこと

 いけばな草月は、伝統を重んじながら、常に積極的に新しいいけばなを目指して今日に至っています。

 その草月内に大変ユニークな存在として造形科があり、造形の基礎や現代美術など、そこでの授業から学び取った成果は、それぞれのいけばなの現場に還元するという役割を担っています。

 その造形科の中の一つに建畠教室がありました。授業は年に何回か数えるほどですが、毎年受講する生徒さんの中には十年を越える方もいます。

 ある時から、先生は自分のアトリエを解放する「課外授業」を思いつかれました。いわば、常々口にされていた「技術は思考、感性は修練」の実践の場の提供です。

マケットから実材料へ移行する過程で、どうやってカットするか、どうやって穴を開けるかなどの問題が出てますと、「課外授業」の日程が組まれます。巣鴨のじいさんぢゃだめかい?といったジョークを交えて、にやっとしながら、です。

 大体週末の午後、寒い時期は朝からアトリエを暖めてくださり、暑いときは丁度ご自分の背中に扇風機が当たるようなスタンスで待っていてくださいました。(そうです、先生は夏が苦手でした。)仕事中は決して座らない、そしてその手はまるで万力のよう、強握力の持ち主でした。そしていつも、合間を見てはご自身の進行中の作品のレクチャーをしてくださいました。

 考えてみればなんと至福の時を共有したことでしょう!!

 残念ながら先生は2006年2月16日、86歳で旅立たれました。闇にこぐ舟で。合掌。

 今年度は大変僭越ではありますが、建畠先生と縁あるギャラリー山口さんの快諾を得ることができまして、ここに作品展開催の運びとなりました。

 ギャラリー山口さんにはここより感謝いたします。

 先生、今年の作品展はいかがでしょうか?