宮田徹也の初版本について「思いつくままに」/ 論評

関直美/ 書評「芸術を愛し、求める人々へ/芸術創造論 」 宮田徹也 / 論創社 / 2020

待ちに待った本がようやくできましたね。
何が出てくるかはお楽しみ、開けてびっくり宮田徹也の玉手箱、大変興味深く読みました。
思えばいつも、本を出さなくては、出さなくてはと言っていました。

帯に若き学生たちに問いかける、とありますが、いえいえ熟年アーチストにも読みやすく一気に 読みました。特に第4章が面白く、難解な書籍をピンポイントで平易に解説、これも大切な点、う ん、うんと納得しながら読み進みました。
ホイジンガの「ルネサンスとリアリズム」の引用では、中世はすべて総合的思索の時代で真の本 意は共同建築だった、ルネサンスで生まれた自然主義と個人主義は大規模な退化過程の中の 病的現象に過ぎない、という衝撃的な考え方に出会いました。
今話題になっているファクトコレクトネス、情報や事実をどれだけ私というバイヤスをかけないで 事実を拾い出すか、これでいいのだという思い込みは視野を狭くし判断を誤まりますよ、と学んだ ばかりでしたのに。何もわかっていない私がいました。

常に学習は大事ですね。肝に命じます。強いて勉める勉強という単語はあまり好きではありませ んので、学習を使います。

出会った頃ははえらくとんがっていてはらはらもしましたけど50歳ですか、大人になったなあ、と 思う次第です。大人というのもどうかと思うけど。
画廊回りに時間を惜しまず、遠方も厭わず出かけていました。
家族を持って忙しいでしょうけど、毎日の生活の充実ぶりが本の中にあちこち見受けられます。
50歳の出版でよかったのではないでしょうか。
2019年バンクアートでのこと、あるアーチストがいちろう君に「好きな音楽は何?」とインタビュー したことを覚えていますか?つぶらな瞳で考えて「ベートーベン!」これ、秀逸!

このくぎりははじまりのはじまり。
これからも楽しみにしています。
祝出版!



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