山麓のトマソン ART STUDY図録より/ 2025

山麓のトマソン
今年は点在する基礎を、大きなものも含めて明確に図面に落とし込んだ。
そんな経緯から大きな基礎においても5人による展示の試みがなされた。
かつて頓挫した建築計画の基礎が残っているススキにゆれる野原。
それらの基礎を作品の台座とするか、作品の一部とするか、そんな試みである。
美術家の赤瀬川原平(1937~2014)は路上観察で見つけた無用の長物を「超芸術トマソン」と名付けた。
建設途中で放置されてしまった渡れない歩道橋など、その当時の打てない巨人軍4番バッター、トマソンになぞらえた命名である。山麓にもトマソンはあった。
コロナ前まで例年草刈りがなされて、 それはそれで基礎の異物感が際立っていて不思議な 空間だった。過去2回、室岡正明が中心になって美術展を開催、その痕跡が基礎のあちこちに残っている。
基礎は見えるがススキの中、そんな基礎を選んだ作家は自ら作品へのアプローチを切り開いた。今年は草払い機を使わなかったものの、切ったススキはやはりしばらく戻ってこないだろう。好きに道をつくっていったらそれなりにススキがなくなっていく。
それでよしとするか規制をかけるかはこれからの課題、みなさんとともに考えていきたい。
都心から130キロあまりの山麓の野原は地元以外の作家にとっては負担がかかる距離、おまけに滞在制作は難しくつくりこんできた作品の設置のみ、参加作家には感謝のみしかない。ありがとうございました。